人材が足りない時代だからこそ、HR業界に「横のつながり」が必要になる
企業経営について考えていると、時代が変わっても結局ここに戻ってくる、というテーマがあります。
それが「人」です。
資金調達も大切です。営業もマーケティングも必要ですし、DXやAIへの対応も欠かせません。しかし、どれだけ仕組みを整えても、実際に会社を動かす人がいなければ事業は回りません。
だから採用や人材育成は、一時的な経営課題ではなく、企業経営における永遠のテーマなのだと思います。
Wonder+でもさまざまな業界の方とお会いしますが、「いい人がいたら採用したい」「採用してもなかなか定着しない」「若い人材が欲しい」という話は本当によく聞きます。
企業はずっと「優秀な人」を探している
人材に関する問題の難しいところは、採用活動を始めたからといって、必要な人がすぐに見つかるわけではないことです。
例えば、新しい事業を立ち上げることになり、営業担当者を3人増やしたいとします。
求人を出せば3人採用できるのであれば話は簡単ですが、現実はそうはいきません。応募が少なかったり、求めている経験と合わなかったり、採用できても早期に退職してしまったりします。
さらに現在は、採用する側の企業同士が同じ人材を取り合っています。
特に多くの企業が欲しがる20代から30代前半くらいの人材については、採用競争が激しくなりやすい状況です。
当社はビジネス交流会だけではなく婚活関連の事業も行っているため、仕事柄、人口動態を見る機会があります。
そこで感じるのが、若い世代そのものが少なくなっているということです。
少子化が続けば、新しく労働市場に入ってくる若年層も当然少なくなります。企業側が「若くて、経験があって、コミュニケーション能力も高くて……」と条件を増やしていけば、その条件に当てはまる人材はさらに限られます。
採用担当者の努力だけでは解決できない、人口構造そのものの問題が背景にあるわけです。
AIが普及したら、人材不足は解決するのか
最近では「AIが普及すれば人手不足が解消されるのではないか」という話もよく聞くようになりました。
確かに、これは一部ではその通りだと思います。
文章作成、データ処理、問い合わせ対応、資料作成など、これまで人間がかなりの時間を使っていた業務をAIが補助できるようになりました。今後さらに自動化される仕事も増えていくでしょう。
ただ、AIが普及したからといって「人材が必要なくなる」という話ではありません。
営業、マネジメント、採用、顧客との関係構築、新規事業など、人と人との関係性によって動いている仕事は数多くあります。
むしろAIを使いこなして生産性を上げられる若い人材や、新しい技術への適応力が高い人材を採用したい企業は増えていくのではないでしょうか。
「AIか人間か」という二者択一ではなく、AIを活用できる人材をどう採用し、どう育てるか。
これもこれからのHRにとって大きなテーマになると思います。
採用だけではない。人材ビジネスの領域はかなり広い
一口に「人材関連」と言っても、実際には非常に多くのビジネスがあります。
人材紹介、人材派遣、求人広告、採用コンサルティング、採用代行(RPO)、ヘッドハンティング、フリーランス紹介、外国人材、アルバイト採用、新卒採用、中途採用など、採用だけでも細かく分かれています。
さらに、採用した後には「教育」という課題があります。
営業研修、管理職研修、コミュニケーション研修、マネジメント教育、リーダー育成、接客研修、DX研修、AI研修など、企業向けの教育サービスも非常に多くなっています。
これは当然だと思います。
会社がすべてを自社だけで教育するのは難しいからです。
「採用したら終わり」ではなく、そこから教育が始まる
例えば営業職を採用したとしても、入社した翌日から全員が成果を出せるわけではありません。
商品知識だけではなく、営業の進め方、ヒアリング、提案、プレゼンテーション、顧客とのコミュニケーションなど、覚えなければならないことがたくさんあります。
管理職になればさらに違います。
自分自身が仕事をできることと、部下を育てられることは別の能力です。
ところが中小企業では、専任の教育担当者を何人も置くことは難しい。経営者や上司が通常業務をしながら新人教育まで担当している会社も少なくありません。
そこで外部の専門企業を利用するという選択肢が出てきます。
自社に足りないノウハウを、すべてゼロから社内で作る必要はありません。営業教育が必要なら営業研修を専門としている会社、管理職教育ならその領域に強い会社に任せる。
こうした企業間の役割分担は、今後ますます重要になるのではないでしょうか。
だからHR業界は「横のつながり」と相性がいい
人材業界やHR関連のビジネスは、実はビジネス交流会との相性が非常に良い業界です。
理由は、一社ですべてを解決することが難しいからです。
人材紹介会社のお客様から「採用した社員の営業教育もお願いできないか」と相談されるかもしれません。
採用コンサルティング会社には「外国人採用について相談したい」という話が来るかもしれません。
研修会社のお客様が「そもそも人が採れなくて困っている」と悩んでいることもあるでしょう。
自社の専門領域から少し外れた相談は、日常的に発生します。
そんなときに、
「その分野なら詳しい会社を知っていますよ」
と言えるかどうか。
ここに人脈の価値があります。
人材系のビジネス交流会は「顧客探し」だけではない
ビジネス交流会というと、どうしても「営業先を探す場所」というイメージを持たれがちです。
もちろん新規顧客との出会いも重要です。しかし、HRや人材関連の交流会では、それだけを目的にするのは少しもったいないと思います。
むしろ重要なのは、協業できる会社や専門家とのつながりです。
例えば人材紹介会社と研修会社がつながる。採用支援会社と社労士がつながる。外国人材を扱う会社と企業の採用担当者がつながる。採用マーケティングの会社とWeb制作会社がつながる。
直接的な競合に見える会社同士でも、得意な業界や職種、地域が違えば、案件を紹介し合える可能性があります。
人材に関する企業の悩みは、一つのサービスだけできれいに完結するものではありません。
だからこそ、自分の会社だけで完結させようとするより「この相談なら誰につなげればいいか」というネットワークを持っている人のほうが、結果的に顧客から頼られるようになるのではないでしょうか。
地方では人材問題がさらに深刻になる
そして個人的に特に気になっているのが地方です。
東京などの大都市圏でも採用が難しいと言われている中で、人口減少が進む地域では、人材確保はさらに大きな経営課題になります。
若い世代が進学や就職をきっかけに都市部へ移動すれば、地域企業の採用対象となる人口そのものが減ります。
これは一企業の採用担当者が頑張れば解決するような問題ではありません。
日本の人口政策については、もっと長期的かつ強力な対策が必要ではないかと個人的には感じています。少子化や地方の人口減少が続く中で、今後地域の企業や産業を誰が支えていくのかという問題は避けて通れません。
ただ、企業経営の立場では政策の結果を待っているわけにもいきません。
採用方法を変える。教育を強化する。外国人材を活用する。外部人材やフリーランスと組む。DXやAIによって少人数でも回る仕組みを作る。
そして、自社だけでは持っていない知識や人脈を持つ企業とつながる。
これらを同時に考えていく必要があります。
Wonder+ HR――人材に関わる人がつながるビジネス交流会
こうした背景から、Wonder+では人材・HR領域に関わる方々が交流できる「Wonder+ HR」を開催しています。
人材紹介、人材派遣、求人・採用支援、企業研修、教育、組織開発、採用マーケティング、HRテック、外国人材、キャリア支援など、人と組織に関係する仕事は非常に幅広いものです。
また、人材サービスを提供する側だけではなく、企業の採用や人材育成に携わる方にとっても、HR領域の専門家との接点を持つことには意味があります。
「今すぐ案件になる人だけを探す」というよりも、自分の専門外の相談が来たときに頼れる人を増やしておく。
そんな関係が一つ増えるだけでも、半年後、一年後の仕事につながることがあります。
人材不足の時代だからこそ、人材に関わる人同士がつながる
日本の人口構造を考えれば、人材をめぐる企業間競争が簡単になくなるとは考えにくいでしょう。
採用できない。育成できない。定着しない。管理職が育たない。営業力を高めたい。AIを使える人材がいない。
企業によって悩みは違っても、最後には「人」の問題につながっていることが少なくありません。
だからHRは、一部の人材会社だけに関係する特殊な分野ではありません。
ほぼすべての企業に関係する経営テーマです。
人が足りない時代だからこそ、人を採用する会社、人を紹介する会社、人を育てる会社、組織を支援する会社、そして実際に採用や経営を担当する人たちが、会社の垣根を越えてつながっていく。
そこから新しい紹介や協業が生まれることもあります。
Wonder+ HRが、単なる名刺交換の場ではなく、人材に関する知識や情報、人脈が交差するビジネス交流会になればと思っています。
HR(人材・教育関連ビジネス)ビジネス交流会をみつける
この記事を書いた人:佐々木
東京都出身。大学卒業後、第二新卒として株式会社ウィルコミュニケーションズに入社。これまでイベントのディレクション、司会・運営、顧客管理、コールセンター業務、Web制作、マーケティングなど、幅広い業務に携わってきました。現在は主にWonder+事業のバックオフィス業務を担当しながら、イベント当日はフロント業務にも携わり、全国各地で開催される異業種交流会の運営をサポートしています。このコラムでは、運営側だからこそ見えるWonder+の舞台裏や、全国のイベントを通じて実際に体験したこと、感じたこと、そして交流会づくりへの想いを、現場目線でお届けします。
