フリーランスこそ異業種交流会に行くべき理由
フリーランスとして仕事をしていると、「もっと仕事を増やしたい」「新しい取引先と出会いたい」と考えることは自然なことです。会社に所属していれば営業担当や会社の看板が仕事を運んできてくれることもありますが、フリーランスの場合は、自分自身で人とのつながりを作っていく必要があります。
そのため、異業種交流会に参加するときも、「ここで仕事を取りに行こう」と考える人は少なくありません。もちろん、それが悪いわけではありません。実際に、交流会で出会った人から仕事につながることもあります。
ただ、最初から売り先を見つけようとして前のめりになりすぎると、思ったほど成果につながらないことも多いです。初対面の相手からいきなり営業されると、誰でも少し身構えてしまいます。どれだけ良いサービスを持っていても、相手との信頼関係ができていなければ、すぐに仕事を依頼されることはまれです。
だからこそ、フリーランスが異業種交流会に参加するときは、「仕事を取りに行く場所」と考えるより、「協業できる人を見つけに行く場所」と考える方が良いのです。
例えば、Webデザイナー、ライター、動画編集者、カメラマン、SNS運用者、コンサルタント、士業など、それぞれ得意分野は違います。一人では受けられない仕事でも、誰かと組めば提案できる幅が広がります。自分の商品を売るだけでなく、「一緒に何かできそうな人はいないかな」という目線で参加すると、交流会の見え方が変わってきます。
また、最初から仕事の話ばかりをする必要もありません。むしろ、友達を作るような感覚で、なんとなく参加してみるくらいがちょうど良いと思います。肩の力を抜いて、フレンドリーに自然と話していると、不思議と「この人とは気が合いそうだな」「雰囲気が良いな」と感じる人が出てきます。
そういう人と少しずつ関係を作っていくことが大切です。押し売りのような空気がなくなるので、相手も安心して話してくれます。仕事の話も、無理に売り込むのではなく、会話の流れの中で自然に出てくるくらいで十分です。
ここ数年、フリーランスとして働く人はとても増えています。Web制作、デザイン、ライティング、動画編集、SNS運用、コーチング、美容、健康、コンサルティングなど、さまざまな分野で個人として活動する人が増えました。その分、似た仕事をしている人も多くなっています。
異業種交流会に参加すると、自分と近い仕事をしている人に出会うこともあります。場合によっては、競合になる人が同じ場にいることもあるでしょう。それは仕方のないことです。
ただ、そこで「競合だから距離を置こう」と考える必要はありません。似た仕事をしている人だからこそ、話が合うこともあります。業界の悩み、単価の悩み、集客の難しさ、クライアント対応の大変さなど、同じような立場だからこそ共感できる話も多いはずです。
そして実際には、仕事を頼む側も、単にスキルだけで選んでいるわけではありません。同じような仕事をしている人が何人かいた場合、最後は「この人にお願いしたい」と思えるかどうかです。技術や実績も大切ですが、話しやすさ、誠実さ、雰囲気の良さ、人柄も大きな判断材料になります。
もちろん、交流会で出会ってすぐに仕事を頼まれることは多くありません。むしろ、すぐに仕事にならない方が普通です。だからこそ、焦らず、友達から始めるくらいの感覚で、じっくり仲良くなっていくことが大切です。
何度か会ったり、SNSでつながったり、たまに近況を話したりしているうちに、少しずつ信頼関係ができていきます。その結果、「今度こんな案件があるんだけど、相談できる?」「知り合いでこういう人を探している人がいるよ」といった話が生まれることがあります。
特にフリーランス同士のつながりは、とても良いものです。会社員とは違う自由さがある一方で、不安もあります。毎月の売上、資金繰り、仕事が途切れる怖さ、将来への不安、独立したことへの少しの後悔、それでも叶えたい夢や希望。そうした複雑な気持ちを、同じような境遇の人なら理解してくれることがあります。
フリーランス同士はライバルである前に、同士でもあるのです。
同じように頑張っている人と話すだけで、気持ちが軽くなることもあります。自分だけが悩んでいるわけではないと分かるだけで、前向きになれることもあります。そして、そうした人とのつながりが、やがて仕事の紹介や協業につながることもあります。
異業種交流会は、ただ名刺を配る場所ではありません。無理に売り込む場所でもありません。フリーランスにとっては、協業相手や相談相手、そして長く付き合える仲間と出会える場所です。
仕事を取りに行くというより、人と出会いに行く。売り先を探すというより、一緒に何かできる人を探す。そう考えるだけで、交流会はずっと参加しやすくなります。
フリーランスこそ、異業種交流会に参加してみる価値があります。肩の力を抜いて、まずは一人、気の合う人と出会うことから始めてみてください。その小さな出会いが、数か月後、数年後の大きな仕事や協業につながるかもしれません。
この記事を書いた人:高杉裕輔
大学卒業後、キョードーグループにてライブや音楽イベント、スポーツイベントなどの運営に携わる。その後、株式会社ウィルコミュニケーションズを札幌市にて設立し、25年以上にわたり異業種交流会(ワンダープラス)をはじめ、婚活パーティー・街コン(ホワイトキー)、男女のマッチングである結婚相談所(ホワイトマリッジ)など、さまざまな「人と人との出会いやマッチングにかかわる事業」を軸に企画・運営している。趣味の旅行を通してタイ王国、中国での定期的なイベント運営も経験。現在手掛ける月間イベント開催数は700回以上。これまでのグループ延べ参加者数は500万人以上にのぼる。全国の主要都市でイベント会場やレンタルスペース(コンファレンスホールグループ)の運営を行い、出会いやすい・マッチングしやすい適切な会場設計にも自ら携わる。現在は、東京からスタートしたWonder+異業種交流会を仲間と共に全国各地へ展開中。各開催地域へ自ら足を運び、現地でイベントを直接運営しながら参加者と交流することで、地域ごとのビジネス文化や参加者の特徴、異業種交流会の雰囲気、観光地やその土地ならではの食の魅力まで幅広く体験・研究している。
本コラムは、全国各地で異業種交流会を実際に企画・運営し、現地で参加者と交流して得た経験や知見をもとに執筆しています。
